ご挨拶

　平成５年に小生と妻の二人でマンションの一画にて、株式会社オメガトロンを営業開始させていただきました当時、小生は資金がほとんどなく、親戚の方々、友人の方々に資金を募り、資本金１０００万円の内７５０万円もの株式を提供賜り、操業を開始することができました。当時は海のものとも山のものともつかないような心もとない事業に対し小生を信頼されてご支援賜りました事、この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。
また、操業当初この業界になんの実績もつながりもない小生に対し、ご支援いただきましたお客様の方々の未知のものに対するチャレンジャー精神と寛容の精神に対する姿勢には非常に感謝いたします。このようなご支援により弊社は現在の技術を獲得し業績を向上できたものと信じております。
あれから、２２年の月日が経ちお陰様をもちましてイオン銃、電子銃、分析器等の重要な技術を獲得することができました。小生も６５歳にしてついに天職を発見することができ、また長男と二男が技術を引き継いでくれましたので、代表取締役を長男に譲り、会長となり天職を全うすべく新技術開発の発展に精進いたす所存です。
今後とも何卒御声援賜りたく存じます。

平成２７年７月吉日

株式会社　オメガトロン
取締役会長　芳賀沼哲夫

〇叙勲と私と武蔵工大（現　東京都市大学）との縁〇

私が武蔵工大に入学したときは昭和45年春でした、当時は学生運動が盛んで東京大学の安田講堂事件で入学試験が取りやめになり、東大希望の優秀な連中がほかの公立大学または、私立大学になだれ込むという時代があり、”受験戦争”の真っただ中にございまして大変な青春時代を過ごしてまいりました。一浪の甲斐があり首尾よく入学し第一希望の機械工学ではなく電気工学部に入学させていただいてから早50年の月日が経過いたしました。当時機械工学のエンジン研究室を覗いた際デーゼルエンジンのピストンを先輩の方々がへッドの形状を交換しながらエンジンのテストをされておられたのを思い出しました。今思うと、これが現在トヨタのレーシングカーに搭載されてる”水素エンジン”だったのですね。小生は電気なので電気の基礎工学実験にて熱電子放出の実験レポートを友人たちと”たまき食堂”の小生の部屋で徹夜でレポートを作成するのですが、曽根先生は実験の理解度、なお考察に対する要求が厳しく、13回も再提出させていただきました事を今でも思い出します。電気理論の分野では高田先生の高分子を直線に整列可能であれば”高分子の超電導”も可能であるとか、プラズマを磁場で閉じ込めるには磁場のポテンシャルが”馬の背”みたいになっており背中の両サイドにプラズマが漏れるなどの実に興味深いお話を賜り授業が大変面白かった記憶がございます。今を思えば、これは核融合のトカマク型融合炉の磁場の開発であったのですね。4年生の時、学内で学生運動家が蜂起し期末試験のボイコット運動が起きてしまい小生たちもその影響で友人たちの中で落第の憂き目に遭遇した者もおりました。小生は貧乏役人の倅であり、友人並びに下宿の”たまき食堂”の親父さんに試験を放棄しないように助言賜りまして何とか卒業させていただいた次第です。その様な時期就職は小生の不勉強もあり、なかなか見つからない時に友人の紹介で日東電気という日立関係の自動車関系の会社の紹介させていただきました。担任教授の光井先生に報告した時”それは有名な会社で良かったね！”とお慶びになられました。その年の春”日東電気”に入社するとその工場では自動車のエンジン部品であるキャブレターを製造しておりました。光井先生が”日東電工”と日東電気は同じ会社であると勘違いされていのですね。入社後小生は工場の組み立てラインの自動化などを担当させていただき、10年の月日が経過したとき近所に真空チャンバーなどに電子銃イオン銃その他の分析器をセットし、実験装置を製造するメーカに大変興味を示し、学生時代に熱電子の実験で電子と原子の振る舞いを解明し独力でこれらを設計販売する会社を立ち上げようと、そのメーカーに飛び込みました。その時小生38歳、㈱オメガトロンを立ち上げたのは43歳の厄年でした。たまたま創業当時から核融合がらみの実験研究をされてるお客様が多く、水素イオン銃などの低速イオン銃、ヘリウムイオン銃これは、核融合炉の隔壁に照射されるイオンの加速エネルギーが２～１０００eＶだそうで、この手の製品が数多く御座います。今思えば、武蔵工大に入学した時点で小生が携わってきた仕事は”水素”つながりだったんだなと云う何かの縁を感じつつ100歳まで天職を全う、いたしていきたいと思います。

令和3年　　5月吉日　㈱オメガトロン　会長　芳賀沼哲夫